多摩地区(永山、若葉台、はるひ野、唐木田、京王堀之内、南大沢)で中学受験専門塾をお探しなら…
生徒・保護者と先生の距離が近い塾、それがLet's多摩センター校。
小規模で面倒見がいい上に先生は中学受験のプロばかり。
私立中学校とのつながりも強いのがLet'sの合格力のポイントです。
042-310-3883 (受付時間 月~土 13 : 30 ~ 19 :00)
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現在MLBのサンディエゴ・パドレスで活躍している松井裕樹が桐光学園を卒業後、楽天イーグルスに入団したのが2014年。
この時期を境に、大学受験のシステムが変わり始めます。
2016年からは、大学の「定員厳格化」が開始されます。ご存じの通り、定員の1.1倍以上の生徒を入学させると、国からの補助金(私学助成金)がカットされるというものです。2023年に「入学定員→収容定員」という形で緩和されたものの、大学側は合格者を定員ぎりぎりの数に絞って、辞退者の数を見ながら追加合格を出していくやり方は、受験生にとって厳しい制度である点はかわりません。さらに、2018年からは、23区内にある大学の定員規制が開始されています。
センター試験は、2021年に大学入試共通テストへと移行。2025年には「情報」の試験も追加されました。選抜方式自体も、一般選抜、総合選抜(AO入試にあたるもの)、学校推薦型選抜(公募制と、専願である指定校制)と、親世代のそれとかなり様変わりした印象です。
その制度変革と時期を同じくして、生徒それぞれの特性に合った居場所と進路を作ってやりたいというメッセージを桐光学園は発信し始めます。
森村学園でも触れましたが、学校を訪れて注目することに、生徒たちの様子、先生たちの動き、授業風景以外にも、掲示されている生徒たちの制作物などがあります。日本女子大附属中を訪れたことのある保護者の方は実感としてお分かりいただけると思いますが、展示物は、作成する生徒側にも見る生徒側にも化学変化をもたらすことになります。見られる側は承認欲求が満たされ、次のステージへの活力になる。見る側は、自分にはできないことをやってのけるクラスメートへの尊敬や憧れも生じるでしょうし、時には劣等感も抱くことがあるでしょう。また、それも「自分にはこれとは違う得意がある」という方向で背を向けるか、「自分も頑張らなくては」と前向きになる方に振れるかはそれぞれだと思いますが、学校という社会集団の中での生徒の内面が変容していく一助になっていると思います。
学内に展示されている生徒の作品は、数年前から「レベルが格段に上がったな」と感じられるものになっています。芸術分野の作品群も見応えがあります。興味深いのは、「探究」に関連した総合学習のプレゼン掲示の内容です。パワーポイントで作成したと思しき作品もなかなかよかったんですが、なにより手書きでまとめられたものが秀逸で、生徒たちの熱さえ感じられるように思えました。2年前の訪問では、前校長の中野先生が、立ち止まって作品を眺めている羽毛田や私に、生徒の取り組みを愛情あふれるようすでご紹介くださったのも印象的でもありました。今年の訪問では、学校から「生徒研究・作品集テオリア」をいただいています。多摩センター教室にありますから、ご興味のある方は教室受付でお申し付けください。
さて、「生徒の進路選択の選択肢を増やすためなら、学校としてできることはなんでもしてやりたい。一昔前の生徒がなしえてきたことを、今の生徒たちにもかなえさせてやりたい」というのが、現校長・岡村先生のお考えです。
それに関して、印象的なお話を桐光学園卒業生の保護者の方からお聞きしました。その保護者の方のお子さんの同級生の話です。(伝聞であることをご了解の上お読みいただけると幸いです)
「帰国子女だったある生徒が、不登校気味になったそうです。子供時代を過ごした日本人学校という環境と日本の進学校のギャップに苦しみ、退学する決意をしました。それを伝えるべく、学校に電話をすると、ある先生と話をすることになりました。ところが、たった5分間、その先生と電話で話をしたことが、その子の意向を変えました。その子は再び学校に通えるようになり、卒業し、大学進学への道を選びました。本人が詳細を話さないので、保護者の方も会話の内容についてはわからないとのことです。ただ、その5分間がきっかけで、その子の人生が変わったのは事実です。」
さて、その先生がどんな話をしたのでしょうか。想像するしかないわけですが、私個人としては、金八先生風に「先生の情熱が生徒の心を動かした」というロマンチック過ぎる解釈はしません。また、電話の時間が5分間だったという点も、やや誇張されているような気もします。
しかしながら、わずかな時間で生徒の気持ちが切り替わることについては理解ができます。
その先生からその生徒にどのようなマジックワードが与えられたのかはわかりません。
ただ、考えられることとしては、その生徒が最適解を選ぶに至るまでの問題意識をその先生をはじめとした「先生たち」も共有していただろうということです。それゆえに、その先生が話した言葉の中に、その子が必要としていた何かがあったということになるのでしょう。
「生徒の進路選択の選択肢を増やすためなら、学校としてできることはなんでもしてやりたい。一昔前の生徒がなしえてきたことを、今の生徒たちにもかなえさせてやりたい」
このエピソードの「その先生」が、現在の校長・岡村薫先生です。
桐光学園は専任教員の割合が高く、二人担任制、放課後や7・8月の講習、最大週6日活動できるような部活動の充実といった「文武」両方をサポートする強みをもともと持っています。
異文化理解を培うグローバル・英語教育では、カナダでのホームステイやイートンカレッジ(イギリス)でのサマースクールなど、視野を広げる語学研修や留学プログラムがかねてから行われています。さらに、帰国子女向けには、国内大学と海外大学の併願が可能な「グローバル併願」、放課後や長期休暇を利用してオンラインで授業を受け、カナダ・オンタリオ州の卒業認定が受けられる「ダブル・ディプロマ」というシステムが、岡村校長が着任した2024年から取り入れられました。
ダブル・ディプロマは、海外大学への進学に有利である点、日本の大学でも日本にいながら「帰国子女枠入試」が使える学校があるなどの利点もありますが、システム自体の汎用性が高いとは言えません。受講するためには一定水準の英語力も必要ですし、オンラインとはいえ別の学校の授業を受けるわけですから、時間もコストもかかります。受講者は帰国生を中心としたニッチなものになるでしょうから、導入に学内でも賛否両論があったのではないかと想像します。
とはいえ、中学での帰国子女受け入れを始めて19年目、学校側の長い経験のうえでの判断であること、近年、海外大学をも志望するニーズが増大していることから、そんなトレンドを反映した学校側の判断もあったものと推察します。それに、たとえ一部であっても生徒の英語力が上がることは、思ったよりも周囲の生徒への「良い影響」があることは、他校でもうまくいっているケースが多く見受けられます。
生徒同士は、影響を受けながら、あるいは依存しながらも、強みを伸ばし弱点を補完して個々が成長していくものだと思います。だから、それを支える学習システムも、先生方の個性も様々である必要があると思います。
校長は、生徒たちの個性を、Kaleidoscope of Dreams、夢の万華鏡のごとくと、2025年輝緑祭(文化祭)の挨拶の中で喩えています。さまざまなタイプの生徒が、それぞれの居場所や共感してくれる人を得る環境を整える。2028年には創立50周年を迎え、理科系フロアや芸術系フロアが配置される6階建ての新校舎が完成するそうです。2階の職員室ではこれまで別々だった男女の職員室を高校2・3年ベースで統合し、情報共有と連携を強化するとのこと。
桐光学園は、毎年100名ほどの国公立大学合格者を輩出し、早慶上理やGMARCHにも強い学校。なおかつ、スポーツや芸術分野で活躍する人材も育つ学校。(私の推しは自転車競技の野嵜然新くん(高3)です)
およそ5人に1人が国公立大学に合格するわけですが、かつて(約10年前)およそ4人に1人の時代があり、生徒たちを取り巻く受験制度の変容や生徒たち自身の気質の変化にも対応しながら、再びそこに挑戦しようとする学校としての意気込みを感じた訪問でした。